AWSは350以上のサービスを提供していますが、現場で使われるアーキテクチャは案外パターン化されています。本記事では、提案や設計の起点として使える6つの定番アーキテクチャを整理します。
目次
1. 静的サイト配信
HTML/CSS/JSのみで完結するLP・ドキュメントサイト・SPAに最適です。サーバ管理が不要で、月額数百円から運用可能。
- 構成:Route 53 → CloudFront → S3(+ ACMで証明書)
- 向き:マーケサイト、Next.js/Nuxtの静的書き出し、ドキュメント
- 注意点:S3のバケットポリシーをOACで絞る。直接公開しない
2. 3層Webアプリケーション
EC2やECS上でアプリを動かす昔ながらの王道。LAMP・Rails・Spring Boot・WordPressなどはこの形がフィットします。
- 構成:CloudFront → ALB → EC2 Auto Scaling → RDS(Multi-AZ)
- 向き:既存アプリのリフト&シフト、長時間処理がある業務システム
- 注意点:ステートレス化が前提。セッションはElastiCache等に外出し
3. サーバレスAPI
イベント駆動・スパイク耐性・運用コスト最小化を狙うときの第一候補。低トラフィック時は実質無料です。
- 構成:CloudFront → API Gateway → Lambda → DynamoDB / Aurora Serverless
- 向き:Webhook受信、IoTバックエンド、社内ツール、AI推論API
- 注意点:コールドスタート、Lambda同時実行数の上限、VPC Lambdaのコスト
4. コンテナアーキテクチャ
マイクロサービスやポリグロットな環境ではコンテナが現実解です。サーバ管理を避けたいなら ECS Fargate が始めやすいです。
- 構成:ALB → ECS Fargate(複数サービス)→ Aurora / RDS / ElastiCache
- 向き:マイクロサービス、CI/CDで頻繁にデプロイするチーム
- 注意点:FargateはNAT Gateway通信費が嵩みやすい。ECRはVPC Endpointで節約
5. バッチ・ジョブ処理
「夜間集計」「ファイル変換」「定期同期」などをサーバレスで安く実装できます。
- 構成:EventBridge(Cron)→ Step Functions → Lambda / ECS Task → S3 / RDS
- 向き:定期処理、ETL、メール一斉配信、画像変換
- 注意点:Lambdaの15分制限。長時間ジョブは ECS Task や AWS Batch を使う
6. データ基盤
BIや分析を本気でやるなら専用構成が必要です。まずはS3+Athenaから始めて、規模が出てきたらRedshiftやSageMakerに広げるのが定番。
- 構成:Kinesis / MSK / DMS → S3(データレイク)→ Glue → Athena / Redshift / QuickSight
- 向き:BI、ログ分析、機械学習の特徴量基盤
- 注意点:S3のオブジェクト数爆発によるコスト増、Glueクローラ実行時間
選定フローの目安
静的コンテンツのみ? → 1.静的サイト
既存アプリの移行? → 2.3層Web
低トラフィック / イベント駆動? → 3.サーバレスAPI
複数サービス / 頻繁デプロイ? → 4.コンテナ
定期処理 / 大量データ変換? → 5.バッチ
分析 / BIが主目的? → 6.データ基盤まとめ
定番を知っておくと、要件ヒアリングの段階で「だいたいこの形」と当たりがつけられます。重要なのは「銀の弾丸はない」こと。要件と運用体制に合わせて、複数の定番を組み合わせる柔軟さを持ちましょう。
